みなさん薬剤師というと、どのような仕事を思い浮かべますか?白衣を着て、薬局の窓口で薬を渡してくれる人?ドラッグストアで風邪薬を選んでくれる人でしょうか?薬剤師は、みなさんが普段目にしない場所でも、実に色々なところで活躍しています。薬剤師の仕事を一言で表すと、「薬に関わるすべてのことに関わる、薬の番人である」といえるでしょう。
薬が患者さんの手に届くまでには、実に長い道のりをたどっています。まず、薬の候補となる物質をみつけ、それが実際に薬として製品化できるかどうか、長い時間をかけて研究します。研究には、動物実験、またある程度の有効性と安全性が確認されると、人体での実験(臨床試験)が行われます。
安全性や有効性、そのほか必要なデータがそろうと、製薬メーカーが、薬の所管省庁である、厚生労働省に申請を出します。そこで認められて、初めて薬が患者さんが新しい薬を使えるようになります。また、薬が発売されたあとも、副作用や患者さんの健康被害など、問題が起きていないか監視、調査が継続して行われることになります。
薬には、医師の処方せんが必要な”医療用医薬品”と、処方せん無しに薬局、ドラッグストアで買える”一般用医薬品”の2種類があります。
このうち、医療用医薬品は病院と薬局で、一般用医薬品は薬局やドラッグストアなどで手に入れることができます。このほかに、一部の薬はインターネットや郵送で、また日本の伝統として、「富山の置き薬」という配置薬などでも、薬は患者さんのもとに渡ることになります。
薬が実際に患者さんに使われるまでには、長い時間がかかること。また、実にいろいろな方法で患者さんのもとにいくことが、少しイメージができたでしょうか。
長くなりましたが、これらの過程すべてに関わるのが薬剤師です。正しい薬が、正しい方法と量で安全に患者さんに使われ、使った後も副作用など問題がないか、きちんとフォローする。
技術の進歩によって、すぐれた効き目を持つ薬がたくさん出てきています。効き目が鋭いということは、裏を返せば副作用として現れてきたときの被害も大きいということです。効き目の高いすぐれた薬を使うために、薬剤師に対する社会の期待は、非常に高いといえるでしょう。